
ビルトインガレージ(インナーガレージ)は、建物の1階部分に駐車スペースを組み込み、愛車を雨風や紫外線から守りやすい設備です。
天候を気にせず車と室内を行き来できる利便性から人気がある一方で、費用が想定より高くなったり、1階の大きな開口部に耐震面の不安を感じたりと、計画次第で後悔につながることもあります。
今回は、山梨県で家づくりを行う入沢工務店が、後悔しやすいポイントや費用が高くなる理由、耐震性を確保する設計の考え方を、実際の施工事例を交えて解説します。
後悔につながる原因を先に知り、ご家族にビルトインガレージが必要かを判断するためにお役立てください。
このコラムで分かること
- ビルトインガレージで後悔しやすいのは広さ・費用・環境・将来性の4系統に集約される
- 「危ない」の理由は1階の大開口、設計と構造で対策できる
- ビルトインガレージとカーポートは暮らし方で選ぶ(自社事例で比較)
Contents
ビルトインガレージ(インナーガレージ)とは|カーポートとの違い

ビルトインガレージ(インナーガレージ)は、住宅の1階部分などに駐車スペースを組み込んだガレージのことです。
雨の日でも濡れずに車へ乗り降りできることや、防犯性の高さから、新築で検討される間取りのひとつとなっています。
まずは、ビルトインガレージの基本と、よく比較されるカーポート・独立ガレージとの違いを確認しておきましょう。
ビルトインガレージとインナーガレージは同じもの
ビルトインガレージとインナーガレージは、どちらも建物の内部に組み込んだ駐車スペースを指す同じ設備です。
住宅会社やハウスメーカーによって呼び方が異なりますが、基本的な構造に違いはありません。
ビルトインガレージにはシャッターを設置するケースが多く、雨風や紫外線から車を守りやすいだけでなく、防犯性を高められることも特徴です。
また、玄関や室内へ直接出入りできる間取りにすると、買い物帰りの荷物を運びやすくなるなど、日々の暮らしにも便利です。
ただし、建物の一部をガレージとして利用するため、間取りや構造を十分に検討することが、後悔しない家づくりにつながります。
カーポート・独立ガレージとの違い
車を保管する方法には、ビルトインガレージ(インナーガレージ)のほかに、「カーポート」や「独立ガレージ」があります。
3種類の特徴を5つの観点で比較すると、以下のとおりです。
| 比較項目 | ビルトインガレージ | カーポート | 独立ガレージ |
|---|---|---|---|
| 構造 | 住宅と一体 | 柱と屋根のみの簡易構造 | 母屋とは別に建てる建物 |
| 囲いの有無 | シャッター・壁で囲う | 壁がなく開放的 | 壁・シャッターで囲う |
| 初期費用 | 高め | 比較的抑えやすい | 別棟の基礎・建物工事が必要になり、費用が増えやすい |
| 防犯性 | 高い | 壁やシャッターがなく、確保しにくい | 高い |
| 天候対応 | 雨風・雪を防ぎやすい | 横から吹き込む雨や雪の影響を受けやすい | 雨風・雪を防ぎやすい |
ビルトインガレージは、防犯性や利便性に優れる一方で、建築費用や間取りへの影響が大きくなる点に注意が必要です。
一方、カーポートは比較的費用を抑えやすいため、「車を雨や紫外線から守りたい」「建物の居住スペースを優先したい」という方に向いています。
また、独立ガレージは収納や趣味のスペースとしても活用しやすい反面、設置費用や、まとまった敷地の広さが必要になります。
家族構成や車の使い方、敷地の広さ、予算まで含めて、自分たちの暮らしに合った方法を選ぶことが、後悔しない家づくりのポイントです。

山梨県でビルトインガレージやカーポートのある家をお考えの方は、一級建築士事務所の入沢工務店にご相談ください。
土地の条件やご家族のライフスタイルを踏まえ、「ビルトインガレージが向いているか」「カーポートの方が暮らしやすいか」まで含めてご提案しています。
ビルトインガレージで後悔する6つの理由

ビルトインガレージで後悔しやすい理由は、広さ・費用・環境・将来性の4系統です。
この4つを具体的な後悔に分けると、以下の6つになります。
- 居住スペースが狭くなる
- 建築費用が高くなりやすい
- 排気ガス・騒音・においが気になる
- 電動シャッターの開閉音・故障で後悔する
- 固定資産税・メンテナンス費用がかかる
- 将来使わなくなる可能性がある
それぞれの後悔について、原因と設計段階でできる対策を順に見ていきましょう。
なお、「危ない」と言われる耐震などの構造面の不安については、ビルトインガレージは本当に「危ない」のか|耐震性の不安と対策で詳しく取り上げます。
居住スペースが狭くなる
ビルトインガレージは、車の台数分だけ1階の居住スペースを圧迫します。
台数が増えるほど必要な面積は大きくなり、駐車スペースに加えてドアの開閉や人の通行スペースも要るため、同じ延床面積ではLDKや収納にしわ寄せが出やすくなります。
対策として有効なのは、以下の2つの間取りです。
- 2階リビング:日当たりと眺望を確保しつつ、削られた1階面積を補える
- スキップフロア:床の高低差で空間を広く見せ、限られた面積を有効活用
建築費用が高くなりやすい
ビルトインガレージは、大きな開口部を支える構造補強やシャッターに加え、地域によっては防火設備が必要になるため、一般的な住宅より建築費が高くなる傾向があります。
主に費用を押し上げるのは、以下の工事です。
- 開口部を支える構造補強
- シャッター(とくに電動)の設置費
- 土間コンクリート、防火設備(防火・準防火地域などの場合)
- 車の重量を受ける基礎の強化
実際の費用は、ガレージの広さや設備、間取りによって大きく変わるため、一律の相場を示すことはできません。
住まい全体の予算とのバランスを見ながら計画することが大切です。
山梨県の土地価格の相場については、こちらの記事も参考にしてください。
▷関連コラム:山梨県の土地価格・坪単価ランキング|主要エリアの相場と注文住宅の費用目安
排気ガス・騒音・においが気になる
ガレージと居室が近いほど、排気ガス・エンジン音・オイルのにおいが室内へ伝わります。
暖機運転や荷物の出し入れのたびに不快に感じやすく、住み始めてからの後悔につながる部分です。
設計段階での対策は、以下の2点が基本になります。
- 換気設備(排気ダクト・24時間換気)を計画に織り込む
- ガレージと居室の間に気密性の高いドアを設ける
電動シャッターの開閉音・故障で後悔する
電動シャッターは開閉の手間がない反面、開閉音・故障・停電時の不便で後悔しやすい設備です。
よくある後悔と、その対策は以下のとおりです。
| よくある後悔 | 設計・選定時の対策 |
|---|---|
| 早朝・深夜の開閉音が近隣に響く | 静音タイプのモーターを選ぶ |
| モーター故障で修理費がかさむ | 定期点検を前提に保証内容を確認する |
| 停電時に開かず車を出せない | 手動開閉に切り替えられる機構を選ぶ |
導入前に手動対応の可否と保証内容まで確認しておくと、こうした後悔を大きく減らせます。
固定資産税・メンテナンス費用がかかる
ビルトインガレージは家屋の一部とみなされ、固定資産税の課税対象になります。
加えて、シャッターの交換や外壁の補修といった経年の維持費も見込んでおく必要があります。
固定資産税の評価額は、ガレージの構造や仕上げ、設備によって変わるため、具体的な税額は計画地の自治体や住宅会社に確認しましょう。
なお、税や維持費とは別に、面積の扱いで知っておきたい緩和があります。
部分は、建物全体の延べ面積の5分の1を上限として、容積率を算定する際の延べ面積から除外されます。
自動車車庫部分は、建物全体の延べ面積の5分の1を上限として、容積率を算定する際の延べ面積から除外されます。
これにより、限られた敷地でも居住スペースを確保しやすくなります。
ただし、これは容積率の計算上の扱いであり、床面積そのものがなくなる制度や、固定資産税が軽減される制度ではありません。
将来使わなくなる可能性がある
車を手放すと、広いガレージ空間をもてあます後悔につながります。
子どもの独立や高齢化で車の台数が減るケースは多く、使わない空間が残ってしまうことも少なくありません。
以下のように、あらかじめ転用しやすいつくりにしておくと無駄になりにくくなります。
- 趣味室・収納・店舗などへ転用できる間取りにする
- コンセントの増設や出入り口を想定した配置にしておく
現在の暮らしだけでなく、10年後、20年後のライフスタイルまで見据えて計画することで、長く満足できる住まいにつながります。
ビルトインガレージは本当に「危ない」のか|耐震性の不安と対策

結論から言うと、ビルトインガレージは適切に設計すれば「危ない」ものではありません。
不安の正体は1階の大きな開口部にあり、その弱点は構造計算にもとづく設計で補えます。
ここでは「危ない」と言われる理由と、耐震性を確保する具体策を、一級建築士事務所の視点で解説します。
「危ない」と言われる理由は1階の大きな開口部
ビルトインガレージが「危ない」と言われるのは、車の出入り口として1階に大きな開口部を設けるためです。
地震の揺れに耐えるのは「耐力壁」と呼ばれる壁ですが、開口部にはこの壁を配置できません。
そのため、1階を支える壁の量(壁量)が減り、横揺れの力に弱くなりやすいという構造的な弱点が生まれます。
とくに以下のケースでは、注意が必要です。
- 狭小地:間口が狭く細長い建物になり、壁量が不足しやすい
- 3階建て:上階の重量が大きく揺れやすい
「ビルトインガレージだから危ない」のではなく、大きな開口部をどのように補うかが耐震性を左右するポイントといえます。
耐震性を確保する設計のポイント
大きな開口部を設ける場合も、構造計算を行い、耐力壁や柱、梁、基礎を建物全体で計画することで、目標とする耐震性能を確保できます。
設計段階で押さえるべきポイントは、以下の5つです。
- 許容応力度計算(構造計算)で建物全体の強度を検証する
- 減った壁量を補うよう、耐力壁を上階や開口部の反対側にバランスよく配置する
- 開口部まわりに門型の耐震フレームを組み込む
- 建物や地盤の条件に応じて基礎を設計する
- 耐震等級を目標指標として設計する
耐震性の客観的な指標になるのが、耐震等級です。
耐震等級は、2000年に施行された品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づく「住宅性能表示制度」の項目のひとつで、等級は以下の3段階に分かれます。
| 耐震等級 | 地震力に対する強さの目安 |
|---|---|
| 等級1 | 建築基準法で求められる水準 |
| 等級2 | 等級1の1.25倍の地震力に耐えられる水準 |
| 等級3 | 等級1の1.5倍の地震力に耐えられる水準 |
〈参照〉国土交通省ウェブサイト:住宅の品質確保の促進等に関する法律「新築住宅の性能表示制度 かんたんガイド」
なお、耐震等級は地震後の損傷や継続居住を保証するものではなく、主に倒壊・崩壊のしにくさを示す指標です。
同じ耐震等級でも、敷地条件や間取り、建物の形状によって適した構造計画は異なるため、一棟ごとに建物全体を見ながら設計することが大切です。
山梨県で地震に強い家づくりについては、こちらの記事も参考にしてください。
▷関連コラム:山梨県の地震に強い地域で家づくり|ハザードマップや過去の被害をもとに土地の選び方を解説
不安は設計段階の相談で防げる
ビルトインガレージの耐震への不安は、設計段階で構造から相談すれば防ぐことができます。
間取りだけを先に決めてしまうと、後から壁量の不足に気づいて対応が難しくなるためです。
開口部の位置と耐力壁のバランスは、プランと同時に構造の視点で検討することが欠かせません。

「ガレージは欲しいが耐震性が不安」という方は入沢工務店にご相談ください。
入沢工務店は一級建築士事務所として、初回のご提案から設計士が同席し、構造を踏まえたプランをご提示します。
後悔しない選び方|ビルトインガレージとカーポートの施工事例

ビルトインガレージとカーポートには、それぞれ異なるメリットがあるため、一概にどちらがいいとは言えません。
「防犯性が高いからビルトインガレージ」「費用が安いからカーポート」と単純に決めるのではなく、敷地条件やライフスタイル、将来の暮らしまで考えて選ぶことが、後悔しない家づくりにつながります。
ここでは、ビルトインガレージとカーポートの双方を手がける入沢工務店の施工事例を紹介します。
14帖のビルトインガレージのある家
入沢工務店が手がけた、14帖(約7坪)のビルトインガレージのある住まいです。

(施工事例:A様邸 ZERO-CUBE+BOX+GARAGE)
この広さがあれば、車やバイク、自転車といった乗り物はもちろん、メンテナンス用の工具やタイヤ、アウトドア用品まで、さまざまなものを収納できます。
使い勝手の面でも工夫が詰まっています。
- 電動シャッターは、車の中からもガレージ内からも操作できる
- ガレージから玄関へ直接アクセスでき、雨の日も濡れずに車の乗り降りができる
広さと使いやすさを兼ね備えたこの事例は、収納力や動線まで含めてガレージを検討したい方の参考になります。
建物と一体デザインのカーポートがある家
入沢工務店が手がけた、カーポートを住まいと一体でデザインした事例です。
屋根と柱を本体と同じブラックで揃え、その直線的なフォルムが外観の水平ラインと調和して、住まい全体をすっきりと引き締めています。

使い勝手の面では、以下のような魅力があります。
- 雨の日も濡れにくく、車の乗り降りや荷物の出し入れがしやすい
- 玄関のすぐ横に配置し、日々の動線がスムーズ
- 壁で囲わない開放的なつくりで、車の出し入れや通風がしやすい
費用を抑えつつ見た目にもこだわりたい方にとって、住まいと調和するカーポートは有力な選択肢になります。
ビルトインガレージの後悔についてよく寄せられる質問

ビルトインガレージの後悔についてよく寄せられる質問に回答します。
Q. ガレージは何台分あると安心ですか?
A. 現在の台数だけでなく、将来の車の使い方まで見込んで決めることが大切です。
夫婦でそれぞれ車を所有している場合や、お子さまが将来車を持つ可能性がある場合は、2台分の駐車スペースを確保すると安心です。
反対に、当面1台の予定であれば、無理に広げず、その分を居住スペースや予算に回す考え方もあります。
広ければ良いわけではなく、暮らしに合った広さを見極めることが後悔を防ぎます。
なお、広さを決めるときは現在の車だけを基準にせず、将来乗り換える可能性がある車種の幅・全長・高さも確認しておくと安心です。
ドアの開閉や荷物の出し入れ、人が通る幅まで含めて考えましょう。
Q. ビルトインガレージは後から増築できますか?
A. 技術的には可能ですが、住宅と一体で設計するビルトインガレージは、完成後の増築が大がかりになりやすく、現実的なハードルは高くなります。
ガレージの増築は建物の構造に関わるうえ、一定の広さがあるため、原則として建築確認申請が必要です。
加えて、防火地域や準防火地域では規模にかかわらず申請が求められます。
構造の補強や外壁・基礎の工事も伴うため、費用と工期の負担は小さくありません。
将来的にビルトインガレージを検討している場合は、新築時から計画しておくことをおすすめします。
Q. ビルトインガレージにEV充電設備は設置できますか?
A. はい。新築時でも完成後でも設置できます。
ただし、新築時に計画しておくほうがスムーズで、費用も抑えやすくなります。
ビルトインガレージは住宅と一体で設計するため、配線やコンセントの位置をあらかじめ計画できることがメリットです。
将来的に電気自動車(EV)へ乗り換える予定がある場合でも、スムーズに充電できる環境を整えやすくなります。
一方で、住宅完成後に充電設備を後付けする場合は、配線工事や分電盤の容量変更などが必要になり、追加費用がかかることがある点には注意しましょう。
現在はガソリン車に乗っている場合でも、今後のライフスタイルを見据えて、新築時にEV充電設備を設置できるよう配線計画だけでも行っておくと、将来の選択肢を広げやすくなります。
まとめ
ビルトインガレージで後悔しやすいポイントと、「危ない」と言われる耐震性、カーポートとの選び方について解説してきました。
ビルトインガレージは、居住スペースや建築費用、音やにおいなど事前に確認しておきたいポイントがあります。
一方で、「危ない」と言われる耐震性については、適切な構造計画や設計によって対策することが可能です。
また、ビルトインガレージとカーポートのどちらが適しているかは、敷地条件やライフスタイルによって異なります。

ビルトインガレージ付きの住まいをご検討中の方や、カーポートとどちらが自分たちに合っているか迷われている方は、入沢工務店にぜひお気軽にご相談ください。
入沢工務店は、ZERO-CUBEシリーズなど、多彩な家づくりを手掛けてきた経験を活かし、ご家族の暮らし方や土地の条件に合わせた設計をご提案しています。



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