
1階完結型の間取りは、リビングや水回りに加えて寝室や収納までを1階にまとめ、2階に上がらなくても暮らしが完結する住まいのつくり方です。
家事の上下移動が減り、階段を使わない生活を続けられることから選ばれている一方で、思っていたより広い建築面積が必要になったり、1階を広げたことで建物の形が変わり構造への配慮が必要になったりと、計画次第で後悔につながることもあります。
今回は、山梨県で家づくりを行う入沢工務店が、後悔しやすいポイントや間取りづくりで押さえたい考え方、平屋との選び方を、実際の施工事例を交えて解説します。
子育てで慌ただしい今と、お子さまが巣立ったあとの暮らしの両方に合う間取りかどうかを判断する材料として、お役立てください。
このコラムで分かること
- 1階完結型は、LDK・水回り・主寝室・収納を1階にまとめた間取り
- 判断の基準は延床面積ではなく、1階に必要な建築面積
- 1階と2階の形が違う間取りは、構造とあわせた確認が必要
Contents
1階完結型の間取りとは、2階に上がらず1階だけで生活が完結する間取り

1階完結型とは、暮らしに必要な部屋をすべて1階にまとめ、2階に上がらなくても生活が成り立つ間取りのことです。
平屋のような暮らしやすさを取り入れながら、必要な個室を2階に確保できるため、子育て中から将来まで生活スタイルの変化に対応しやすくなります。
1階に集約するのはLDK・水回り・主寝室・収納の4機能
1階にまとめるのは、以下の4つです。
- LDK:家族が集まり、食事をつくって過ごす場所
- 水回り:浴室、洗面脱衣室、トイレ
- 主寝室:夫婦が眠る部屋
- 収納:衣類や日用品をしまう場所
この4つが1階にそろうと、朝起きてから夜眠るまでの行動が1階だけで完結します。
洗濯物を持って階段を上がる必要も、着替えを取りに2階へ行く必要もありません。
一方の2階には、子ども部屋や予備室といった「毎日は使わない部屋」だけを置きます。
2階に置く部屋を思い切ってしぼることが、1階完結型を成り立たせるうえで欠かせない考え方です。
平屋との違いは必要な敷地の広さと部屋数の融通にある
1階完結型と平屋の大きな違いは、2階を使って必要な部屋を確保できる点です。
平屋はすべての部屋を1階に配置するため、同じ延床面積の2階建てと比べて建築面積が大きくなりやすい傾向があります。
1階完結型は個室を2階に持ち上げられるので、平屋ほどの広さがなくても検討しやすくなります。
主な違いを比較すると、以下のとおりです。
| 比較項目 | 平屋 | 1階完結型 | 総2階建て |
|---|---|---|---|
| 必要な敷地 | 広めになりやすい | 中間 | 小さくても収まりやすい |
| 階段の使用頻度 | なし | 少ない | 多い |
| 部屋数の融通 | 増やしにくい | 2階で調整できる | 調整しやすい |
| 家事動線 | 短い | 短い | 長くなりやすい |
※あくまで一般的な傾向であり、敷地の条件や建物の仕様などによって異なります。
1階完結型は、平屋の暮らしやすさに近づけながら、必要な部屋数は2階で調整できるのが特徴です。
平屋の間取りについては、以下のコラムを参考にしてください。
▷関連コラム:おしゃれな平屋の間取り実例10選|人気のプラン・デザインで叶える山梨の注文住宅

平屋と1階完結型で迷っている方や土地探しでお困りの方は、入沢工務店にご相談ください。
入沢工務店では、土地の形状や建ぺい率、ご家族が希望する部屋数などを確認しながら、敷地に合った間取りをご提案しています。
1階完結型の間取りの4つのメリット

1階完結型のメリットは、毎日の暮らしやすさと、これから先の暮らし方の両方にあります。
ここでは代表的な4つのメリットを見ていきましょう。
- 家事と生活の動線が1階にまとまり、上下移動を減らせる
- 階段を使わない生活で、子育て期にも老後にも負担を減らせる
- お子さまが独立した後も、1階だけで暮らしやすい
- 生活の中心を1階にまとめると、家族の動線がLDK周辺に集まりやすい
家事と生活の動線が1階にまとまり、上下移動を減らせる
水回りや収納を1階にまとめると、洗濯や掃除などの家事を同じフロアで進められます。
たとえば、洗面脱衣室の近くに室内干しスペースとファミリークローゼットを配置すれば、「洗う・干す・しまう」のために階段を移動する必要がありません。
主寝室も1階にあれば、着替えや入浴、就寝といった日常生活の動線も1階にまとまります。
階段を使わない生活で、子育て期にも老後にも負担を減らせる
日常的に階段を使わずに生活できる間取りは、子育て中の移動を減らせるだけでなく、年齢を重ねてからの負担軽減にもつながります。
- お子さまを抱っこしたままの上り下り
- 洗濯物や掃除機を持っての移動
- お子さまが階段から落ちないかという心配
消費者庁が2022年に公表した資料では、階段からの転落事故はハイハイから歩き始める1歳前後に多く発生すると指摘されました。
また、消費者庁が公表した令和5年版消費者白書によると、65歳以上の方が自宅でけがをした、またはしそうになった場所として「階段」が最も多く挙げられています。
子育て期から老後まで階段移動の負担を抑えやすいことは、1階完結型の大きなメリットです。
〈出典〉消費者庁ホームページ:子どもの転落事故に注意! – 落ちるまではあっという間です。事前の対策で事故防止を –
〈出典〉消費者庁ホームページ:令和5年版消費者白書「COLUMN 住環境における高齢者の事故について」
お子さまが独立した後も、1階だけで暮らしやすい
1階完結型では、2階を子ども部屋など必要な個室にしぼる間取りも可能です。
お子さまの独立後は2階を日常的に使わなくても、LDKや水回り、主寝室、収納がそろった1階を生活の中心にできます。
空いた子ども部屋は、収納や予備室など、そのときの暮らし方に合わせて使い道を考えましょう。
生活の中心を1階にまとめると、家族の動線がLDK周辺に集まりやすい
1階完結型では、洗面や着替え、就寝など日常生活に必要な動線を1階にまとめます。
LDKをその動線上に配置すると、家族がLDK周辺を通る間取りをつくりやすくなります。
家族の生活時間や過ごし方はそれぞれ異なるため、間取りだけでコミュニケーションの量が決まるわけではありません。
そのうえで、家族が自然に行き来しやすい動線を考えておくと、1階を中心とした暮らしがしやすくなります。
ママ・パパから人気の子育てしやすい間取りのアイデアは、こちらの記事も参考にしてください。
▷関連コラム:子育てしやすい間取りのアイデア実例16選|ママ・パパから人気の注文住宅のポイントを解説
1階完結型の間取りで後悔しやすい3つのポイントと対策

1階完結型では、以下のことが後悔の原因になりやすい部分です。
- 希望する部屋が1階に収まらない
- 希望どおりの間取りにできない
- 予算を超えてしまう
ここでは、間取りを決める前に知っておきたい3つのポイントと対策を解説します。
土地を購入した後に、希望する部屋が1階に収まらないことがある
土地の広さだけを見て購入すると、希望していた1階完結型の間取りにできないことがあります。
土地には「建ぺい率」が定められており、敷地いっぱいに建物を建てられるわけではありません。
たとえば、30坪の土地で建ぺい率が50%の場合、建築面積の上限は原則15坪です。
1階完結型にするには、この範囲にLDKや水回り、主寝室、収納など、1階に必要な空間を配置する必要があります。
希望する部屋や広さによっては15坪に収まらないため、土地の広さだけで判断することはできません。
なお、建ぺい率は敷地や建物の条件によって緩和される場合があります。
土地を決める前に、適用される建ぺい率を確認しておきましょう。
〈出典〉国土交通省ウェブサイト:建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)について
希望する間取りと構造条件が両立せず、プラン調整が必要になることがある
広いLDKや希望する部屋の配置だけを優先すると、構造との兼ね合いから間取りの変更が必要になることも少なくありません。
1階に大きなLDKを設け、2階に子ども部屋などを配置すると、上下階で壁や柱の位置がそろわない間取りになる場合があります。
壁や柱の位置が異なるだけで耐震性を判断することはできませんが、間取りは建物全体の構造と切り離して考えることもできません。
2025年4月に施行された改正建築基準法では、木造2階建て住宅などについて建築確認の審査省略制度が見直され、これまで審査が省略されていた構造関係規定なども審査対象となりました。
1階を広く、2階をコンパクトにするなど上下階の形が異なる間取りを検討する場合も、間取りだけを先に決めるのではなく、設計の早い段階から構造とのバランスを確認することが大切です。
〈出典〉国土交通省ウェブサイト:令和4年改正 建築基準法について
想定していたより建築費が高くなることがある
1階の面積を広げるほど、想定していた予算を超えてしまう点には注意が必要です。
同じ延床面積でも、1階部分を広くすると総2階建てより基礎や屋根の面積が大きくなりやすく、建築費に影響することがあります。
さらに、1階に多くの部屋や収納を設けて延床面積自体が増えれば、建築費の総額も上がります。
1階完結型を検討する際は、1階に必要な機能と2階へ移せる機能を整理し、建物全体の面積を調整しましょう。
「すべてを1階に置く」と考えるのではなく、日常的に使う空間を1階に優先して配置し、子ども部屋などを2階にまとめると、暮らしやすさと予算のバランスを検討できます。

1階完結型を検討している方は、入沢工務店にお気軽にご相談ください。
入沢工務店では、ご家族が希望する暮らし方と土地の条件を確認しながら間取りをご提案しています。
暮らしやすい1階完結型の間取りをつくる5つのポイント

暮らしやすい1階完結型にするには、必要な部屋を1階に集めるだけでなく、収納や将来の使い方、2階とのバランスまで考えて配置することが大切です。
ここでは、計画の段階で押さえておきたい5つのポイントをご紹介します。
延床面積ではなく、1階に必要な面積から間取りを考える
1階完結型を計画するときは、「延床30坪ならできる」といった建物全体の広さだけでは判断できません。
まずは、1階に置きたい空間を以下のように書き出してみてください。
- LDK
- 主寝室
- 浴室
- 洗面脱衣室
- トイレ
- 収納
- 玄関
必要な広さは家族の人数や希望するLDKの広さ、収納量によって異なるため、1階に置きたい部屋から必要な建築面積を考えることがポイントです。
収納は1階に集約し、2階に取りに行く動作を減らす
日常的に使うものの収納は、できるだけ1階にまとめます。
| 収納する場所 | しまうもの |
|---|---|
| ファミリークローゼット | 家族全員の衣類 |
| 洗面脱衣室まわり | タオル、下着、洗剤 |
| 玄関収納 | 靴、コート、外まわりの道具 |
| パントリー | 食品、日用品のストック |
洗濯した衣類をその場でしまえる位置にファミリークローゼットを設けると、家事の流れがさらに短くなります。
2階の収納は、季節の家電や思い出の品など、年に数回しか出し入れしないものに絞りましょう。
将来の寝室になる部屋を1階に用意しておく
将来も1階だけで暮らせるようにするには、寝室として使える部屋を1階に確保しておくことが重要です。
ただし、子育て中から寝室として使う必要はありません。
以下の用途で使うこともできます。
- お子さまが小さいうちは、目の届く場所での遊び場
- 帰省されるご家族が泊まる客間
- 在宅で仕事をする方の作業スペース
- 家事の合間に休むための小上がり
将来のためだけに空けておく部屋を設けるのではなく、今から活用できる用途まで考えておくと、限られた床面積を有効に使えます。
2階は子ども部屋など必要な個室を中心にコンパクトにする
1階に生活の中心をまとめる一方で、2階には子ども部屋など必要な個室を配置しましょう。
2階にも大きな収納や共有スペースを設けると、ものを取りに行くために階段を使う場面が増えてしまいます。
1階と2階の役割を明確にし、日常生活に必要な機能は1階、個室は2階というように整理すると、1階完結型のメリットを生かしやすいです。
1階に寝室を置く場合は窓の位置や外構で防犯性を高める
1階に主寝室を配置すると、窓が道路や隣地から近くなることがあります。
対策は、窓の位置と高さで取ります。
- 道路に面した側は、高い位置に細長い窓を設ける
- 大きな窓は、隣家から見えにくい方角に配置する
- シャッターや面格子を取り付ける
- 植栽やフェンスで視線をやわらげる
防犯だけでなく、採光や風通しとのバランスも含めて窓の位置を計画することが大切です。
1階の防犯対策については、以下の記事でも紹介しています。
▷関連コラム:平屋の防犯対策17選|間取り・設備・外構の工夫で安全に暮らせる家をつくる方法
山梨県で実現した1階完結型の間取り実例

ここでは、入沢工務店が山梨県笛吹市で手がけた1階完結型のお宅を紹介します。
こちらは、生活の中心となる空間を1階にまとめながら、お子さまに必要な個室は2階に確保したお宅です。
1階のLDKは、ダイニングの天井に化粧梁を取り入れた開放的な空間になりました。
キッチンにはグラフテクトを採用し、室内全体を落ち着いた色合いでまとめています。

キッチンの奥には、造作棚とカウンターを備えた広いパントリーを設けています。
食材やキッチン用品はもちろん、冷蔵庫まで収納できる設計です。
造作棚は高さやサイズを調整できるため、持ちものに合わせて使い方を変えられます。

浴室、脱衣室、洗面所を横並びに配置し、さらにウォークインクローゼットへ直結させています。
洗面所には造作の洗面カウンターと深く大きな洗面ボウルを備え、壁一面の鏡が空間に広がりを持たせました。
脱ぐ、洗う、着替えるという一連の動作を近い範囲でつなげられるため、着替えを取りに2階へ行ったり、洗濯物をしまうために階段を使ったりする動作を減らせます。

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1階完結型の間取りに関するよくある質問

最後に、1階完結型の間取りを検討する際によくある質問に回答します。
Q. 1階完結型は何坪あれば実現できますか
A. 1階完結型に必要な坪数は一律ではなく、1階に配置する部屋や必要な広さによって異なります。
たとえば、同じ延床30坪の2階建てでも、1階と2階を15坪ずつにする間取りと、1階を20坪・2階を10坪にする間取りでは、1階部分に必要な広さが異なります。
1階完結型では、LDKや水回り、主寝室、収納などを1階に配置するため、延床面積だけでは実現できるか判断できません。
まずは1階に必要な部屋と広さを整理し、その間取りを建てられる土地か、建ぺい率や土地の形状も含めて確認しましょう。
Q. 平屋と1階完結型では、どちらが向いていますか
A. 必要な部屋をすべて1階に配置できる場合は平屋、1階だけでは必要な個室を確保しにくい場合は1階完結型の2階建てが選択肢になります。
平屋は階段のない生活ができる一方、すべての部屋を1階に配置するため、必要な建築面積も大きくなります。
土地の条件や必要な部屋数、将来の暮らし方を踏まえて比較することが大切です。
Q. 子ども部屋だけを2階にしてもよいですか
A. 子ども部屋だけを2階にする間取りも可能です。
LDKや水回り、主寝室、日常的に使う収納を1階にまとめ、子ども部屋を2階に配置すれば、1階中心の生活と必要な個室の確保を両立できます。
Q. 1階と2階の面積が違うと、地震に弱くなりますか
A. 1階と2階の面積が違うという理由だけで、地震に弱いとは判断できません。
住宅の耐震性は、建物全体の形状や壁・柱の配置、構造などを含めて確認する必要があります。
1階を広くして2階をコンパクトにする場合も、間取りだけを先に決めるのではなく、設計段階から構造とのバランスを確認することが大切です。
まとめ
今回は、1階完結型の間取りについて、平屋との違いやメリット、後悔を防ぐためのポイントを施工実例とともに解説しました。
1階にLDKや水回り、寝室などをまとめると、家事や生活で階段を使う機会を減らしながら、2階に必要な個室を確保できます。
ただし、暮らしやすい間取りにするには、現在の家族構成だけでなく、土地の建ぺい率や必要な部屋数、お子さまの成長・独立後の暮らしまで考えて計画することが大切です。
この記事が、ご家族に合った1階完結型の住まいを考える際の参考になれば幸いです。

入沢工務店では、山梨県の土地条件やご家族の暮らし方に合わせた住まいをご提案しています。
1階完結型の2階建てと平屋で迷っている方も、土地探しや間取りの段階からお気軽にご相談ください。



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