家の間取りやインテリアデザインと同じくらい重要なのが「窓計画」。
位置や大きさによって、室内の雰囲気は全く変わります。
しかし、一体どのように窓のサイズを検討すればいいか分からない方も多いでしょう。
そこで、今回は窓の大きさを決める要素や種類、検討する際のポイントを詳しく解説します。
これから新築住宅を建てる方はもちろん、今のお住まいをフルリノベーションしたい方も、ぜひ参考にしてください。
●窓の大きさを決める際には、防犯やプライバシーへの配慮も必要です。
●入沢工務店は、山梨にオフィスを構え“地元密着”をコンセプトに、スタイリッシュで快適な家づくりに励んでいます。
Contents
窓の大きさを決める要素は?
住宅プランの作成時、設計士が窓の大きさを決めるために検討するアプローチはいくつかあります。
法的な制限・性能の確保・平面計画との関連性の全てを併せて考え、適切な大きさの窓を設置するのです。
では、それぞれの要素について詳しく見てみましょう。
採光の確保
建築基準法では、住宅などの居室に対して、住む人の健康や衛生に考慮し、自然光を確保するための「採光面積」が定められています。
第28条(居室の採光及び換気)
住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、五分の一から十分の一までの間において居室の種類に応じ政令で定める割合以上としなければならない。ただし、地階若しくは地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室又は温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室については、この限りでない。
(引用:建築基準法)
具体的な割合は、建築基準法施行令第19条(居室の採光)で定められており、「住宅の居住のための居室」は床面積の1/7以上の有効採光面積が必要です。
有効採光面積は、「窓面積 × 採光補正係数」で求め、採光補正係数は用途地域や隣家との距離、窓上の庇との距離などによって、それぞれ0.2〜3の間で設定されます。
耐震力・耐風圧力の確保
窓の大きさは、耐震性にも影響します。
なぜなら、木造の場合は、柱の本数や壁量によって耐震性を左右するからです。
梁補強などによって大開口でも十分な耐震性を確保することができない訳ではありませんが、基本的には窓を設けすぎると、耐力が下がるのが基本です。
そのため、窓の大きさや位置を検討する際には、壁のバランスと併せて検討しなくてはいけません。
実際に、建築基準法でも壁量に関する規定があります。
遮熱性・断熱性の確保
採光や耐震力・耐風圧力を確保すれば快適で安全な生活が実現できるという訳ではありません。
実は、外部の暑さ・寒さの影響を最も受けやすく、室内の冷暖房で調節された温度が流出しやすい場所のが窓。
つまり、窓の遮熱性・断熱性が家全体の性能にも大きく影響するということです。
最近は高遮熱・高断熱の窓サッシやガラスが住宅へ採用されることが当たり前になりつつありますが、やはりその性能は断熱材を入れた壁よりも劣ります。
そのため、特に日差しが強い場所などに大きな窓を設けると、いくら高性能な窓であっても、暑さが気になる可能性は否めません。
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窓サッシの種類や大きさのレパートリーは?
窓の大きさは、サッシの開閉方式・家の寸法基準(モジュール)・サッシの規格寸法(製作可能範囲)によって決まります。
設計士は間取りの構成や予算に応じて、大きさを検討するのです。
では、それぞれのポイントについて詳しく見てみましょう。
開閉方式の種類
窓は、大きく「開閉できる」「開閉できない」タイプに分けられます。
開閉できるものについては、その仕組みによって特徴が異なり、サッシの最小・最大寸法も変わるため、設置する空間の性質によって、大きさを検討しなくてはいけません。
引き違い窓
最も一般的なタイプで、開けたままの状態でもサッシが邪魔になりません。
ただし、どうしてもガラス中央に枠(桟)があるため、すっきりと見せたい場所にはあまり好まれません。
実用性を重視し、ベランダへの出入り用や換気用の窓として用いられます。
上げ下げ窓
上下2枚にガラス戸が分かれていて、下窓を上げ下げすることで窓面積の半分を開閉できます。
窓半分しか開放できないため、換気を優先する場合にはおすすめできません。
しかし、欧米の住宅でよく用いられるため、洋風な家にしたい方からはとても人気です。
滑り出し窓
外側に押し出して開けるタイプで、縦滑り出し窓と横滑り出し窓があり、換気能力に優れています。
ただし、開けた状態では窓が邪魔になってしまう点には注意してください。
内倒し窓
外倒し窓
ガラス戸の下を軸に、上部が室内もしくは屋外側に倒れるタイプです。
どちらも換気するのに適した窓で、内倒し窓は防犯性に優れています。
ただし、こちらも開け放しの状態では、サッシが邪魔になる可能性があります。
ルーバー窓
オーニング窓
ルーバー窓(ジャロジー窓)は、細長いガラスが複数連なり、ブラインドのようにハンドルで角度を変えて開閉します。
オーニング窓はルーバー窓と操作方法は似ていますが、ガラスそれぞれにフレームがついているタイプです。
どちらもガラス面積が少なく、外の景色を見るような場所にはおすすめできませんが、換気性に優れているため、キッチンや浴室に用いられます。
フルオープン窓
開放感が最大の魅力であるフルオープンサッシは、ほぼ全面を開け放つことができます。
そのため、リビングとウッドデッキが続いているような空間におすすめです。
FIX窓
こちらは、窓が開閉できず固定されている窓。
換気能力はありませんが、無駄な枠がないため、採光効果は大きいです。
開閉できる窓と連窓にするタイプも人気で、多くの新築住宅へ取り入れられています。
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家の基準寸法・工法の違い
日本の木造住宅は、今でも“寸尺”が寸法の基準ですが、実はそれの中でもいくつか種類があります。
その住宅がどの寸法基準(モジュール)を使って建てられているかによって、サッシのレパートリーが変わり、納まりのいい窓も異なるのです。
そのため、メーカーは下記のモジュールでサッシのレパートリーを揃えています。
- 「関西間(京間)・九州間」
1.05尺(955mm)の畳サイズが寸法基準 - 「関東間(江戸間)」
1尺(910mm)が寸法基準 - 「メーターモジュール」
1m(1000mm)が寸法基準 - 「インチモジュール」
1.2m(1218mm)寸法基準
これらの寸法基準以外にも、在来工法(軸組工法)と2×4工法(ツーバイフォー・枠組壁工法)によっても、サッシの種類は異なります。
そのため、いくら要望のサイズがあっても、モジュールや工法によってサッシを選べない可能性もあるのです。
取付方法の種類
サッシ枠の取り付け方(納まり)によっても、窓の種類は異なります。
- 「内付けサッシ」
サッシ枠が取り付ける柱の室内側におさまるタイプ。 - 「外付けサッシ」
サッシ枠が取り付ける柱の内側におさまらず、屋外側へ出るタイプで、室内側が和室の場合に用いられる。 - 「半外付けサッシ」
サッシ枠が取り付ける柱の屋外側へ半分ほど出るタイプで、サイディングなどをサッシ取り付け後に貼る場合に用いられる。
サッシの納まりによって、選べる窓サイズや開閉方式が変わりますので、施工会社とじっくり詳細まで打ち合わせしましょう。
サッシ規格サイズ
サッシの規格サイズはどのメーカーもある程度共通しており、その範囲を知っておくことも重要です。
開閉方式の違いによって製作可能サイズが異なりますが、一般的には「高さ(H)370mm〜2030mm」「幅(W)300mm〜1900mm」の組み合わせで規格が設定されています。
そのため、それ以上の大きな窓にしたい場合や、規格サイズ範囲内であっても特殊な寸法の窓にしたい場合には、特注品となりコストは上がってしまいます。
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リビングや寝室の一般的な窓サイズは?標準はどのくらい?
窓の大きさを決める際に、平均的なサイズを知りたい方も多いでしょう。
リビングからウッドデッキに出るような掃き出し窓の場合は、高さ1800〜2000mm程度、幅1800〜2700mm程度が一般的です。
最近では、掃き出し窓の高さを天井いっぱいまで広げて、開放感を演出するデザインが人気です。
寝室などに設置される腰窓の標準サイズは、高さ1200mm前後、幅900〜1800mm程度が多く、2階以上に取り付ける場合には、落下事故を防ぐため、窓の下端が床から800〜1000mmの高さに設置します。
ただし、これらはあくまでも“一般的”なサイズであり、昨今増えているデザイン性に優れた住宅では、多種多様な大きさの窓が取り入れられています。
そのため、あまり平均・標準な大きさかどうかは気にせずに、設計士と十分相談して適切なサイズを選ぶことが重要です。
サイズを決める際のポイントは?快適性・プライバシー性・防犯性との関係やリノベーションについて
ここまで、法的な制限や性能面との関係性、規格サイズなどについてお話ししましたが、これら全てを踏まえた上で、さらに押さえるべきポイントがあります。
窓を設置する方角を考える
窓を取り付ける方角によって、大きくすべきか小さくすべきかが異なります。
多くの方は、最も日射量の多い方角は南面と思っているかもしれませんが、実は南面に太陽が位置する時間帯は高度が高いため、窓付近にしか日射が入りません。
一方、東面・西面は太陽高度が低いため、部屋の奥まで日差しが入ります。
つまり、日射熱を避けたい場合には、東西面の窓を小さめにしておいた方がいいということです。
逆に、日射量の少ない北面に大きな窓を設ければ、室内が柔らかい光に満たされます。
しかし、間取りや敷地によっては、東西面にしか大きな窓を設けられないというケースもあるでしょう。
その場合は、遮熱性の高いガラスを用いて、夏の暑さ対策に備えることをおすすめします。
プライバシー性を考慮する
どうしても前面道路に近い場所へ窓を設けなくてはいけない場合、外部からの視線が気になるでしょう。
しかし、「窓は小さくしたくない」という方も多いはずです。
その場合には、高窓(ハイサイドライト)や天窓(トップライト)、地窓を取り入れてみてください。
【高窓(ハイサイドライト)】
壁の高い位置に取り付ける窓で、効率良く日差しを取り入れられ、通行人の視線も気になりません。
吹き抜け空間との相性がよく、最近は多くの住宅で採用されます。
ただし、隣家の2階窓との位置関係は十分チェックしましょう。
場合によっては、上から見下ろされてしまう可能性があります。
【天窓(トップライト)】
屋根の一部を開口して取り付ける窓で、壁面につける窓よりも効率良く日射を取り入れられます。
ただし、設置する場所によっては暑さが気になる可能性も高いため、十分な検討が必要です。
【地窓】
床面に近い場所に設ける窓で、外部からの視線を遮ぎつつ、採光が確保できます。
ただし、隣家が近いと一日中日陰になってしまうので、やはり周辺環境の確認は欠かせません。
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防犯性を考慮する
泥棒などが家の中に侵入する経路の第一位は「窓」。
鍵を閉め忘れた状態だけではなく、ガラスを破られるケースも少なくありません。
破られにくい防犯ガラスをはめておくことも有効ですが、破られなかったとしても傷つけられれば、補修費用がかかってしまうでしょう。
一般的には、地面から2m以内の高さに設置されている窓や、バルコニーなどの足場がある窓、前面道路に面していない窓、植栽の影に隠れている窓には、防犯への配慮が必要とされています。
これらの窓を、敢えて小さくする方法もおすすめ。
不審者の侵入を防げる大きさは、以下の条件を満たしている場合です。
- 400mm × 250mmの長方形よりも小さい
- 400mm × 300mmの楕円形よりも小さい
- 直径300mmの円形よりも小さい
特に防犯性を高めたい窓は、これらの基準よりも小さいガラスになるようにすることをおすすめします。
大きな窓にしたい場合には、侵入者に「破るのに時間がかかる」と思わせるように、面格子やインナーサッシをつけておくのも良いでしょう。
リノベーションでサイズ変更ができる可能性も
既存住宅の窓サイズをリノベーションで変えたいという方も多いはず。
木造の場合は、既存窓より小さい窓へ取り替えることは簡単で、耐震性・断熱性などの性能面でもそれほど問題はありません。
逆に、既存窓よりも大きな窓へ取り替える際には要注意。
先ほどもお話しした通り、壁量が減ることで耐力が下がってしまう恐れがあるからです。
ただし、不可能という訳ではありません。
耐震診断をして、その結果を踏まえた耐震補強をすればいいのです。
窓を広げた分、間仕切り壁追加などの工事が必要になりますが、フルリノベーションであれば、間取り全体で懸念点を解消できるかもしれません。
耐震補強の実績が豊富な会社へ相談することが重要となります。
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まとめ|窓サイズはいくつもの視点で検討しなくてはいけません
「大きな窓のある開放的なリビング」を思い描く方も多いでしょう。
確かに、大きな窓のある部屋は清々しく気持ちいいですよね。
しかし、少し視点を変えると、防犯面で心配だったり、夏の暑さが気になる可能性もあります。
そのため、窓サイズを決める際には、さまざまな視点から十分に検討しなくてはいけません。
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