「住宅ローンを利用して家を建てたいけど、前年度年収が低い・勤続年数が1年未満など条件が整っていないので、審査に通るか不安」とお悩みの方がいらっしゃると思います。
銀行によっては年収額・勤続年数に関して特別な条件を提示していない場合もあるため、審査の段階でどのように判断されるのかを想定しづらいですよね。
今回は山梨・甲府で多くのご家族の家づくりをサポートしてきた『入沢工務店』が、住宅ローン審査に対する不安・疑問を解消する情報を、わかりやすく解説します。
ご家族に必要なタイミングに合わせて無理のない資金計画で家を建てるために、ぜひ最後までごらんください。
Contents
住宅ローン審査に「前年度年収が低い」「勤続年数1年未満」などの条件で通るかを確認する3つの方法
各銀行は住宅ローン審査の詳細な基準を開示していませんが、以下3つの項目を確認することで、ご自身が住宅ローン審査に通るかどうかを予測できます。
- ご自身が銀行の「住宅ローン利用条件」に該当するか確認
- 仮審査・本審査の申し込み書類を正確に記入したか確認
- 仮審査の前に信用情報を確認
各項目の確認方法を紹介します。
ご自身が銀行の「住宅ローン利用条件」に該当するか確認
はじめに、各銀行がホームページなどに掲載している「住宅ローンの商品説明書」で、住宅ローンの利用条件を確認しましょう。
利用条件に該当していない場合は、別の銀行を検討する必要があります。
利用条件 |
銀行例 |
|
---|---|---|
フラット35 | 大手地方銀行 | |
年収 | なし | 100万円以上 |
勤続年数 | なし | 3年以上 |
借入時年齢 | 70歳未満 | 18〜70歳以下 |
借入額 | 100〜8,000万円 | 1億円以内 |
借入期間 | 15〜35年 (もしくは80歳まで) |
50年以内 |
住宅ローンの商品説明書には、上記以外にもさまざまな利用条件例が明記されています。
「利用条件」「ご自身の状況」「審査の申込書に記入した内容」が相違する場合には審査に通らないため、必ず商品説明書を隅々まで確認しましょう。
仮審査・本審査の申し込み書類を正確に記入したか確認
仮審査・本審査の申し込み書類の中で特に記入ミスをしやすいのは、「他社からの借入状況」です。
銀行は、住宅ローン審査の際に個人の借入状況・返済状況がすべて記録された「信用情報」を必ず確認するため、必ず正確な情報を記入してください。
借入状況の記入ミスが「虚偽」とみなされて信用力が低下し、審査に影響する可能性があります。
【他社からの借入状況で記入ミスをしやすい例】
- 分割払いのスマホの端末代金について、記入を忘れる
- クレジットカードのキャッシング
- 健康保険組合からの借入(高額医療費貸付制度) など
仮審査の前に信用情報を確認
一般的に、信用情報の内容は、住宅ローン審査に大きく影響するとされています。
信用情報機関は3種類で、すべての信用情報を取り寄せて確認することをおすすめします。
- CIC(株式会社シー・アイ・シー)
- JICC(日本情報信用機関株式会社)
- KSC(全国銀行個人信用情報センター)
以下のような情報が複数ある場合は、審査に通らない可能性があることを念頭に置いておきましょう。
- 延滞情報が複数ある:住宅ローンも延滞すると判断される可能性がある
- 多額の借入残債がある:収入に対する返済負担率が高い場合は、住宅ローンを正常に返済するのが難しいと判断される可能性がある
- 任意整理歴がある:完済する能力が低いと判断される可能性がある
信用情報で確認できるのは過去5年間の情報なので、過去の延滞情報などが信用情報から消えた後に、住宅ローン利用を検討する方法もあります。
【注意】住宅ローン審査に落ちた場合、理由は開示されないのが一般的
銀行の住宅ローン窓口担当者と審査担当者は別で、一般的に、審査に落ちた場合に理由が開示されることはありません。
住宅ローンの窓口担当者も理由を知らないのが一般的ですので、審査に落ちた場合にはご自身で問題を想定して取り除き、再度審査にチャレンジする必要があります。
次に、住宅ローンの審査項目別に、「審査に落ちる理由」「審査に落ちる原因を取り除く方法」も解説するので、ぜひ参考にしてください。
山梨・甲府で「家を建てたいけど、住宅ローン審査に通るか不安」とお悩みの方は、入沢工務店へお問い合わせください。
資金計画の段階から、ご家族をサポートいたします。
住宅ローンの審査項目別に落ちる理由、落ちる原因を取り除く方法を解説
国土交通省が毎年調査・公表している『民間住宅ローンの実態に関する調査』をもとに、9割以上の銀行が審査している項目をピックアップしました。
- 年収
- 勤続年数
- 返済負担率
- 借入時年齢・完済時年齢
- 健康状態
- 担保評価
〈参考〉国土交通省『民間住宅ローンの実態に関する調査』>令和6年度
銀行の回答結果から、住宅ローンの審査に落ちる原因を取り除く方法を想定して解説します。
年収
回答数が最も多いのは、「150万円以上」です。
前年度年収が低い原因が転職・就職の場合は、以下のように年収を計算して提示するよう、指示している銀行もあります。
【(転職後の平均月収×12)+賞与】
「年収・返済計画のバランス」が取れていないと審査に落ちる可能性が高いため、銀行から見て無理のない返済計画となるように、住宅ローンの借入額を設定しましょう。
※銀行から見て無理のない年収・住宅ローン借入額のバランスを、のちほど「住宅ローン利用者の年収平均・借入額平均など一覧で紹介」で確認できます。
年収に対して住宅ローンの借入額が多い場合には、以下の対策を検討してください。
- 頭金を入れる
- 建築プランを見直して、住宅ローンの借入額を抑える
- ペアローン・収入合算での住宅ローン利用を検討する
こちらの記事で、ペアローン・収入合算の住宅ローンの詳細を確認できます。
▷関連コラム:共働きの住宅ローン|ペアローンと収入合算のメリット・デメリット
転職などで一時的に年収が下がっている状態の場合には、年収・住宅ローン借入額のバランスが適正になるまで待つのも、1つの方法です。
勤続年数
回答数が最も多いのは、「1年以上」です。
勤続年数は、銀行が「継続して安定収入を得る信用力がある」と判断するための基準となっていることを想定できます。
また、自営業の場合には一般的に「3年以上の安定収入を確保した実績が必要」とも言われていますが、「自営業は対象外」と回答している銀行があることも事実です。
勤続年数が原因で住宅ローン審査に落ちることを防ぐためには、「勤続年数が1年以上となってから審査を受けるのがベスト」と考えておきましょう。
自営業の場合には、住宅ローン審査事例を多数見てきた施工業者・ファイナンシャルプランナーなどに、銀行選びの段階からサポートしてもらう方法もあります。
返済負担率
回答数が最も多いのは、「40%以内」です。
またフラット35は、借入条件に「年収に応じた返済負担率」を含めているので、参考にしてください。
- 年収400万円未満:30%以下
- 年収400万円以上:35%以下
※返済負担率は、住宅ローン以外のローンも含めて計算するのが一般的です。
返済負担率が高くなりすぎないように住宅ローンの借入額を調整することはもちろん大切ですが、単純に上記の数値を参考にして借入額を決めると、住宅ローン返済が家計の大きな負担になるケースがあります。
特に転職などによって収入が安定していない状況の場合は、「実際の家計の中で無理なく返済できる額」から逆算して、住宅ローンの借入額を検討して頂けると幸いです。
「現在の家賃で家を買うなら賃貸・マイホームどちらがいい?」とお考えの方へ、こちらの記事で賃貸・マイホームの違いを紹介しています。
▷関連コラム:家賃8万円の賃貸・マイホームもったいないのはどちら|手取りと家賃のバランス、家を買える年収など解説
借入時年齢・完済時年齢
借入時年齢の回答数が最も多いのは「65歳未満の年代」、完済時年齢の回答数が最も多いのは「80歳未満」です。
まずは、完済時年齢が80歳を超えないように、住宅ローンの借入期間を設定しましょう。
また、完済までの返済能力も、住宅ローン審査に影響することを想定できます。
完済までの返済能力については、企業にお勤めの場合・自営業の場合で異なりますよね。
住宅ローン審査に落ちることを防ぐために、完済時年齢は「確実に収入を得られる期間内」に収まるように設定することをおすすめします。
健康状態
回答数が最も多いのは「団信加入が必要」で、この回答から、「団信に加入できる健康状態であれば住宅ローン審査に良い影響がある」ことを想定できます。
※団信とは団体信用生命保険のことで、住宅ローン契約者が死亡・高度障害状態などになった場合の補償で、住宅ローン残債を完済できます。
「病気の治療中」「既往歴がある」などで団信に加入できない場合には、団信加入が不要の「フラット35」を選択して、住宅ローン審査を受けましょう。
担保評価
回答数が最も多いのは「融資判断に影響」で、例えば以下のような場合は、銀行が担保価値が低いと判断して住宅ローン審査に落ちる可能性があります。
- 災害危険区域などに家を建てる
- 駅から近すぎる・遠すぎる
- 大きな幹線道路沿い
- 整形が難しい土地(傾斜地、変形地など) など
明らかに住みづらさ・危険を感じるような立地は、担保評価の視点からだけではなく、「ご家族の快適・安全な暮らしを実現する」という視点からも、避けることをおすすめします。
山梨・甲府で家を建てることを検討中で、住宅ローン審査に不安や疑問をお持ちの方は、入沢工務店へお問い合わせください。
資金計画の段階から、ご家族をサポートいたします。
住宅ローン利用者の年収平均・借入額平均など一覧で紹介
次に、住宅ローンを実際に利用している方の利用状況も確認しておきましょう。
近年は住宅価格が上昇し続けているため、家づくりのプランを組み立てるうえで、平均的な利用状況も参考にしていただけると幸いです。
こちらの記事で、住宅価格の上昇がいつまで続くのかを解説しています。
▷関連コラム:住宅価格の高騰で家が買えない状況はいつまで続くのか、今後下がる見込みはあるか|今家を買う方法も解説
住宅ローン利用者の年収平均・借入額平均など一覧
多くの方が利用している住宅ローン「フラット35」の利用者調査から、土地付注文住宅を購入した方の平均年収・借入額平均などをまとめて一覧表にしました。
利用状況 | 平均 |
---|---|
年収(世帯) | 704.1万円 |
借入額 | 4,171.2万円 |
返済負担率 | 26.4% |
年収倍率 | 7.6倍 |
借入時年齢 | 40.8歳 |
住宅面積 | 111.2㎡(約33.6坪) |
〈参考〉住宅金融支援機構ホームページ『フラット35利用者調査』調査結果20ページ
年収別に住宅ローン借入可能額の想定を一覧で紹介
上記の数値をもとに、年収別の住宅ローン借入可能額を想定して紹介します。
年収 | 住宅ローン借入可能額想定 (年収の7.6倍と仮定) |
---|---|
100万円 | 760万円 |
300万円 | 2,280万円 |
500万円 | 3,800万円 |
700万円 | 5,320万円 |
1000万円 | 7,600万円 |
銀行はご自身が現時点で提示できる書類(年収を確認できる源泉徴収票など)や信用情報をもとにして、住宅ローンの審査を実施します。
銀行によって審査基準が違うため、「前年度年収」「勤続年数」などの状況で住宅ローン審査に通るか不安な場合は、まずは2〜3行に仮審査を依頼してみましょう。
仮審査にまったく通らない場合には、審査基準をクリアできない原因を検討し、「今すぐに原因を取り除けるか」「原因を取り除くために時間が必要か」を判断することが大切です。
住宅ローンを「前年度年収が低い」「勤続年数1年未満」などの条件で利用する際のQ&A
最後に、住宅ローン審査について不安や疑問をお持ちの方から、入沢工務店がよくいただく質問・回答を紹介します。
Q.複数の銀行の住宅ローン審査に落ちた。家を買う方法はある?
A.複数の銀行の住宅ローン審査に落ちた場合には、さらに審査を受け続けても審査に通らないのが一般的です。
信用情報には銀行の審査を受けたことも記録されるため、「審査を受けすぎている=問題がある」と判断される可能性もあります。
「複数の銀行の住宅ローン審査に落ちたものの、今家を買いたい」とご希望の場合には、ノンバンク(預金業務を行わない金融機関)などのローンを利用する方法がありますが、以下の点に注意が必要です。
- ノンバンクも住宅ローン商品を提供しているが、金利が高額で最長借入期間が短い
- 住宅ローン以外のローン商品を利用する方法もあるが、金利が高額で最長借入期間が短い
Q.仮審査に通過したら本審査に落ちることはない?
A.仮審査に通過しても、以下のような状況の変動があった場合には本審査に落ちる可能性があります。
- 転職で収入状況が変化
- 新たなローンの利用
- 家づくりのプランを変更して借入希望額が増額 など
仮審査を受ける時点で家づくりのプランを最終決定し、本審査・住宅ローン契約完了までは状況を変動させないよう注意する必要があります。
Q.住宅ローン審査が甘い銀行を知りたい
A.住宅ローン審査が甘い銀行を明確に提示することは難しいのですが、以下のような銀行は、メガバンクなどとは違う独自の審査基準を期待できます。
- フラット35:貸倒れリスクの低い方法で資金調達を行っている
- ろうきん:「働く人の夢と共感を創造する協同組織の福祉金融機関」という使命を掲げている
- 信用金庫:「地域社会の繁栄」などを理念に掲げている
Q.住宅ローンを頭金なしのフルローンで利用するなら、手元資金0円でも家を建てられる?
A.住宅ローンを頭金なしのフルローンで利用する場合でも、手元資金0円では家を建てられません。
理由は、現金支出が必要な諸費用が必ず発生するためです。
諸費用の目安は総予算の8〜15%ほどで、具体的には「土地取得時の手付金や仲介手数料」「登記費用」「不動産取得税」などです。
諸費用の一部を資金使途に含めている銀行もありますが、すべての諸費用をまかなえる内容ではない点に、注意が必要です。
まとめ
「前年度年収が低い」「勤続年数が1年未満」などが原因で住宅ローン審査への不安をお持ちの方へ、住宅ローン審査に通るかを確認する方法などを解説してきました。
年収や勤続年数は多くの金融機関が審査項目に含めていて、他の審査項目と総合して審査に通るかどうかを予測する必要があります。
また住宅ローン審査では主に「無理のない返済が可能かどうか」を審査されるため、ご自身の状況に応じて住宅ローンを利用できる状況を整えていただけると幸いです。